幸畑陸軍墓地(青森市)前編

 

多行松たぎょうしょう

八甲田山雪中行軍で

犠牲となった199名と

生存者11名の墓標が整然と並ぶ

幸畑こうばた陸軍墓地の周囲には

「多行松」という

四国産の松が植えられています。

八甲田山雪中行軍遭難資料館から、

裏側に回り

幸畑陸軍墓地へ歩いて行く途中、

妻が発見したのが、

こちらの案内です。

「多行松」

「幸畑陸軍墓地が作られた時に植栽され、

アカマツの仲間の園芸種で

四国産といわれている。

根元に近いところから、

幹が分かれているのが特徴。」

このように記されています。

アカマツと言えば、

条件反射的に会津若松市の木を

思い出す僕達ですが(笑)

何故、わざわざ四国産のアカマツを

青森に持ってきて植栽したのか、

少し疑問に思っていました・・

ネットで多行松を調べていると

一本の根から

何本も枝分かれすることで、

子孫繁栄の象徴に繋がり、

「幸福を呼びよせる」とあります。

勝手な推測ですが、

若くして亡くなった多くの方々の

ご家族、子孫が繁栄し、

みんなが幸せに暮らす事こそ、

供養になると考えて、

多行松の植栽となったのかも

知れません・・・

幸畑陸軍墓地

多行松と並行して歩き、

入り口付近に到着。

雪中行軍遭難六十周年記念碑、

「あゝ陸奥の吹雪」。

台石は遭難した

「歩兵第五連隊兵舎基礎石を使用」

と書かれています。

御英霊の方々ゆかりのものを

ここに安置することは、

大きな供養になるはず・・・

エントランス。

ここからボランティアの方と

正面の士官10人の墓標へ行き、

一通り説明をお聞きしたのですが、

僕達は一旦入り口付近に戻り、

改めてじっくり参拝することに。

案内板と幸畑陸軍墓地の標柱。

案内を抜粋すると

以下になります。

「明治三十五年(一九〇二)一月下旬、

八甲田山中における雪中行軍訓練のため、

青森の歩兵第五連隊兵舎

(現青森高校)を出発した

将兵二百十人が遭難し、

百九十九人が死亡する事件が起きた。

事件後、この遭難事件を

国家への殉死行為と位置づけるため、

陸軍費を投じて東津軽郡筒井村

(現青森市幸畑)のこの地に

遭難将兵の墓地を整備し、

明治三十六年七月二十三日に

納骨式を行った。

なお、このとき植栽された多行松は

四国産のものであると言われ、

当地域では極めて珍しい松である。

墓標は階級ごとに整然とならび、

正面には

大隊長山口鋠少佐を真中に将校十人

そして、むかって左は

特務曹長二人を含む九十五人、

右は特務曹長一人を含む

下士官・兵九十四人の墓標が

それぞれ七列に配置されている。」

准下士官・下士官94名

お参りを開始。

正面に向かう参道の途中から

まずは右の墓地へ。

奥へ。

参拝。

背後から見ると、

兵士たちが整列し、

反対側の仲間の墓標を

見つめているようです・・・

准下士官・下士官95名

次は向かって左側へ。

青空が・・悲しい・・

参拝。

ボランティアの方のお話だと

遺骨は其々の家族が故郷に持ち帰り、

ここには埋まっていないそうです。

こちらも同じく、

向かいの仲間達を見つめています・・

士官10名

次に正面の士官10名の墓へ。

10基の墓標。

やはり士官の墓碑は立派です。

参拝。

真ん中の山口少佐の墓は、

台座も三段で他の士官よりも

さらに立派ですが、

陸軍上層部の

雪中行軍遭難の責任逃れの為、

薬殺された(ボランティアさん談)

その痛ましさを考えると、

墓の立派さなんて、

故人が望んでいたのかな?

なんて考えてしまいます・・・

明治三十三年二月二日死亡。

病院に収容された翌日です・・・

墓前には山口少佐の出身地、

東京のお酒が供えられています・・・

重度の凍傷に冒されながらも

任務を全うするために必死で

雪中を彷徨ったであろう山口少佐、

安らかにお眠りください・・・

石碑

お墓の背後には石碑が二つあります。

「明治天皇御製、

昭憲皇太后御歌碑」

明治天皇:

「埋火にむかへと寒しふる雪の

下にうもれし人を思へば」

昭憲皇太后:

「うづもれる人を惜しみて青森の

雪をいかにといはぬ日ぞなき」

「凍傷軍人英霊碑」

ここで妻が見つけたのが

こちらです。

靖國神社の御神酒。

拝殿と桜、

ジーンと来ますね・・・

生存者合同墓碑

次に士官の墓の右横にある

生存者合同墓碑へ。

210名中生還した11名も

時と共に亡き人となっています・・

ここでは士官も一兵卒も

分け隔てなく、

同じ墓標に刻まれています。

ボランティアの方は、

最後にお亡くなりになった方の

遺骨が埋葬されているのではと

お話されていました。

墓参はここまでで完了し、

この後、

周囲のお堂などへ向かいます。

 

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