2020/05/11
當勝神社(兵庫県朝来市)前編
主祭神の名前
當勝神社は、
「まさかつじんじゃ」と読みます。
日本書紀をかじった事がある人ならば、
「あ~きっとあの神様を祭っているかも?」
なんて想像がついてしまう神社名ですが、
正にその予想通りでした。
ただ神社では御由緒などの案内を
見つけられず、予想通りというのは、
Wikipediaの情報からの推定です。
當勝神社の主祭神は、
「正哉吾勝勝速日天之忍穗耳尊」
(まさかあかつかちはやひ
あめのおしほみみのみこと)。
とにかく長い!長過ぎる名前ですが、
神様の正式名称は、
長いものは意外と多いのです。
この神様は、
素戔嗚尊(スサノオ)が、
お姉さんの天照大神から
高天原を奪い取りに
来たのではないと疑われた時、
素戔嗚尊が、絶対にそうではないと
証明する為に「男子を生む」と
うけい(誓約)をして、
その通りに生んだ男子で、
うけいに勝った事(正哉吾勝)自体が
子供の名前に付いています。
この最初の「正哉吾勝」が、
神社名に通じているのでしょう。
當勝神社へ
粟鹿神社から車で数分、
この日最後に参拝する
當勝神社の社頭に到着です。
御社殿群は、
森の中にスッポリと覆われ、
この山自体が、
結界のように感じられます。
一の鳥居の神額には
唐破風の屋根が付けられ、
さらに鳳凰?の彫刻までが
施されています。
石段の参道を進みます。
昔の写真では、手前の輪っかの場所に、
赤い二の鳥居が建っていました・・・。
手水舎。
水が流れっぱなしで、
清潔な手水鉢だな~なんて
思いながら手を清めていると
妻がいきなり雄叫びを(笑)
「これ亀の顔じゃない~!?」
そう言って指差したのは手水鉢の下部。
あひゃ~!!
可愛らしいというか、
ユーモアたっぷりの亀のお顔です。
何とも言えず参拝者の僕たちを
笑顔にしてくれるではないですか!
ありがとう、神様ならぬ「亀様」(笑)
さらに先へ。
ここで随身門が登場。
山東町指定需要文化財。
(今は朝来市に編入されています)
随神ではなく随身と書かれていますね。
「屋根は檜皮葺」と案内されていますが、
今は銅板葺きにされています・・・。
やはり檜皮葺で維持管理は
難しかったのでしょう。
それでも、江戸時代末期の建立らしく
随所に見所があります。
唐破風下の素晴らしい龍の彫刻。
その上で、
顔を真赤にして?屋根を支える
力士に大工さんの
センスの良さを感じます。
屋根裏も繊細な彫刻ばかりで、
見惚れてしまいますね!
阿形の随神様。
吽形。
境内側から随神門を撮影。
右側にちょっとだけ写ったのが、
絵馬殿です。
朝来市指定文化財の絵馬群。
弘化二年(1845年)奉納の
「天岩戸図」
その他の絵馬。
網が張って大切にされています。
絵馬の保存は難しそうですね。
そして、絵馬殿に置かれていたのが、
こちらのパンフレットです。
當勝神社の拝殿などにも
彫刻を施している中井権次一統、
そのすべてと称される冊子です。
100円置いて
持って帰りたかったのですが、
この一冊だけしかなかったので、
後の方が見られるようにと
止めました。
が、
ちょっと後悔しています(笑)
御神木。
拝殿手前の狛犬には、
それぞれにご社殿並の
立派な屋根が付けられて
大切にされています。
どちらも明治四十年
(1907年)の奉納ですから
誕生からは110年ほど
経過していますが、
やはり屋根の効果は絶大で、
傷み等はあまりありません。
吽形。
阿形。
この地方では阿吽の位置が
よく見るものとは逆で、
参道右側に吽形、
左側に阿形という配置が多く見られ、
ここでもその通りでした。
石垣の下から拝殿を撮影。
屋根は向拝に唐破風、
上には小さな千鳥破風、
その奥に一段上がって大きな千鳥破風、
またその屋根に小さな千鳥破風と
指先まで神経が行き届いているというのか、
豪華絢爛かつ繊細な造りに驚きます。
拝殿は慶応四年
(1868年)の建立。
(Wikipediaによる)
向拝に付いた神紋は五三の桐ですね。
ここで目に飛び込んで来るのが、
唐破風上で睨みをきかせた
狛犬の光る目です。
アップで撮影。
眼光鋭く
僕は胸を射抜かれた気分です(笑)
遊び心と言っては失礼なのでしょうが、
この御社殿には、
何だか大工さんや彫刻師の
一流のユーモアを感じてしまいますね。
軒下の彫刻もまた圧巻です!
繊細極まりない龍や狛犬たちの彫刻で、
その「目」には
石(ガラス玉?)が使われていて
鋭い光を放ち、
今にも動き出さんばかりの迫力に、
僕たちはここに立ち尽くして
しばし感動の嵐を
受けまくっていました(笑)
拝殿狛犬も素晴らしい!
自分の足を咥えたポーズは、
大工さんの発案なんでしょうか?
ここでも阿形が左です。
参拝。
拝殿にも絵馬が掛けられていますね。
おみくじは古いタイプ。
左から拝殿、幣殿、本殿。
拝殿右横に置いてある木製のオブジェ?
古い御神木の一部分でしょうか・・・。
本殿の造りもまた繊細で素晴らしいものです。
本殿は安政六年(1859年)の建立。
(Wikipediaによる)
拝殿の彫刻たちとスリーショット(笑)
ここからまた
見所満載の境内社を巡ります。
今日のモダン
拝殿前の石畳は
ちょっとお洒落なレストランの床みたいで
なかなかモダンです。
拝殿が建立された江戸時代末期から
このデザインだったのでしょうか。
だとすると、かなり先進的ですね!
(當勝神社 後編へ続く)