八甲田山雪中行軍遭難資料館・後編

 

厳冬期に行けば・・

僕たちが遭難資料館を訪問したのは、

6月上旬の穏やかな晴れた日ですが、

雪深い厳冬期であれば、

遭難の悲劇が身に染みて

その理解度は、

より深まったかも知れません。

ただ、

雪の中での運転を考えると、

恐ろしい事になりそうで(汗)、

やはり、

この時期しかなかったのかな(笑)

展示室(続き)

以下、展示室のパネルと

案内の超訳です。

「倉石大尉の遭難談・伊藤中尉の講演」

「倉石大尉の遭難談」

「指凍り、ズボンのボタンを

はずす事が出来ず、

そのまま便をした」

「回れ右の号令をなし行路を転じたが、

悲しむべし、凍傷に倒れる兵士多く

三十名ばかり屏風を倒すように倒れた。」

「伊藤中尉の講演」

「行軍するうち、かなた向こうの山より

四列縦隊の兵が元気よくやってくる。

応援が来たものと全員が喜んだ。

・・・・飢えと疲れのため

視力に異常を呈したもので

あとで枯木であることが判った時の

落胆ぶりはひどかった。」

これはもはや、

人の尊厳もへったくれもなく、

ただ生ける屍と化しています・・

「アイヌ人の活躍・捜索秘話」

「遭難者の捜索には北海道からの

アイヌ人7名とバーナード犬二頭が

参加、協力した。」

「捜索隊派遣まで」

捜索隊派遣の転機は、

やはり「後藤伍長」が仮死状態で

発見された事で、

彼の凄まじい生命力があればこそ、

数少ない生存者も救助されたのでしょう。

「捜索計画と規模の変遷」

1月28日に

1000人規模で始められた捜索は、

2000人ほどまでに増え、

遺体の逐次発見とともに

規模は縮小し、

6月20日までに全ての遺体の収容と

銃器を回収をして、

全捜索は終了しています。

「捜索体制」

210名の戦友を助けるため、

捜索に必要な人・物・金の充実を図り、

各所に食事・医療体制を充実させ、

大規模な捜索を行なったようです。

「生存者のその後の治療経過」

「救助され病院に

収容されたのは17名で、

うち6名は凍傷のため死亡。

凍傷に冒されていなかったのは、

倉石大尉、伊藤中尉、

長谷川特務曹長の

3人だけでした。」

靴の展示の所で見た、

「東京で買い求めたゴム長靴」を

履いていた

倉石大尉も凍傷を逃れた一人に

入っていますね!

「雪中行軍に対する世評」

莫大な義捐金が集まるとともに

山の天気を甘く見て遭難した

第五連隊に批判的な報道も

あったと書かれています。

時代は変わっても

人々のやることは同じです・・

「残された謎」

「山口少佐は2月1日病院に収容され

2月2日死亡しました。

死因は「心臓麻痺」。

陸軍が遭難事件の

責任追及から逃れるため

指揮官である山口少佐を

クロロフォルムを使用し

薬殺したという説が有力です。」

日本軍に於いて、

この手の責任逃れは、

枚挙にいとまがないくらい、

数多くありますが、

ここでもそうだったのかと

別段驚きもしませんね・・・

ノモンハン事件や、

第二次大戦中など、

部下に責任を

なすりつけて自決や玉砕に

追い込んでも自分だけは、

戦後ののうのうと暮らしている

上層部の連中も

残念ながら、この「伝統」を

引き継いでいたのでしょう・・

最終コーナーのパネル展示。

「生還者その後の人生」

「倉石一大尉(第五連隊)」

「明治37年、日露戦争に出征し、

翌38年1月27日「黒溝台の会戦」にて

望遠鏡で敵軍を偵察中、

直撃弾により戦死しました。」

「阿部卯吉一等卒(第五連隊)」

「凍傷に侵された両手指6本と

両足の膝下を切断し兵役免除となり

大工を器用にこなし、

昭和37年(1962)6月9日の

八甲田山雪中行軍遭難六十周年記念式典には、

82歳の高齢にもかかわらず、

羽織・袴の元気な姿で参加されました。」

「後藤房之助伍長(第五連隊)」

「凍傷に侵された両手指の全部、

両足の膝下を切断し兵役免除、

故郷、岩手県に帰る。

その後、村会議員を2期務め、

大正13年、44歳で病没。」

「福島泰蔵大尉(第三十一連隊)

「明治35年1月の雪中行軍後、

同じ年の10月、結婚。

明治37年10月、日露戦争に出征し、

翌38年1月28日「黒溝台の会戦」にて、

降りしきる雪の中、指揮中に

敵の砲弾を頭に受け40歳で戦死。」

凍傷を負っても

生きながらえる人、

無傷で生還しても

直後の戦争で亡くなる人、

全て「運命」の成せる業なり・・・

パネル見学後、展示室全景を撮影。

最後に青森歩兵第五連隊の

御英霊たちに

日本の礎として、

尊い命を捧げてくださった事を感謝し、

彼らの墓標へと向かいます。

 

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