満舟寺の石垣(呉市御手洗)

 

加藤清正のイメージ

人の印象とは、

勝手に独り歩きしたものが、

あたかもその人の個性そのものに

祭り上げられているものも

多々あるようです。

そんな中の一人が、虎退治など

「猛将」としてのイメージと

熊本城を造り、

また、その城主であった人として有名な

戦国から江戸時代にかけての武将、

加藤清正です。

今回、御手洗地区の旅で、

まさか「加藤清正」の名前を聞くとは

思ってもみませんでしたが、

この人、熊本以外にも

慕われているのです。

その一つが、福山市の鞆の浦で、

昨年行った時、

清正公道」と名付けられた道があり、

お寺には、加藤清正の像までもが

伝えられている事を知り、

秀吉の配下として西日本を

転戦していた中、

各地で善政を施していたのを感じました。

今も尚、熊本の人々から

清正公(せいしょうこう)と慕われているのも

彼の人心収攬に長けた、

統治能力の高さ故のものでしょう。

そんな加藤清正が手掛けたと

言い伝えのある石垣が残るのが、

ここ御手洗地区の満舟寺です。

お寺の参拝よりも石垣が目的とは、

ご本尊に怒られそうですが、

仏様ですからお優しいはず、

大丈夫でしょう(笑)

満舟寺の石垣

御手洗幼・小・中学校跡の

すぐ隣が満舟寺です。

明治初期の一時期、

学校としても使われていたお寺で、

ここにお目当ての

「加藤清正が築いた石垣」はあります。

案内板には、

「豊臣秀吉の四国攻めでは、

加藤清正が御手洗に築城したと

「芸藩通志」に記されています」

このように書かれ、

さらに

「戦国時代の築城の技法である

「乱れ築き」であることから、

元々は何らかの水軍拠点だったと

考えられています。」

と案内されていますので、

寺を水軍拠点に仕立て、

石垣もその時出来たのかも

知れませんね。

ここでの説明、「乱れ築き」ですが、

よく言うところの、

野面(のずら)積みに似ています。

寺を囲むように立派な石垣が

張り巡らされています。

以前石垣の前は海に面した

断崖だったそうなので、

天然の要塞でもあったのでしょう。

石段を上って境内へ。

両脇の石垣の迫り具合、

城攻めの武者になった気分です。

これはまさに桝形虎口ですよ!

普通はお寺に必要が無いものですから

やはりここは、水軍城的な

意味合いだったのでしょう。

上から見た桝形虎口。

勝手に決めつけてしまいました(汗)

観音堂

こじんまりした境内の真ん中に

観音堂はあります。

参拝。

ここで、気になるものを発見。

「琉球(沖縄)使節の筆跡満舟寺額」

江戸時代、琉球使節は十八回、

江戸上りをしていると書かれ、

ここには、江戸時代後期の

文化四年(1807年)

その琉球使節が御手洗に立ち寄った際、

中山薬師梁光地(梁は右の点が無い漢字)

が書いた満舟寺の額の紹介です。

これがその300年前の額。

案内によると、

右側に書かれている、

「嘉慶十二年丁卯李春」は、

中国、清代の年号です。

嘉慶十二年を調べると、

西暦1807年ですから

文化四年と符号します。

日本に於いてさえも

清の年号を書いたのは、

やはり当時の琉球王国は

中国の冊封国だった証ですね。

参拝後、下から観音堂を撮影。

斜めから見ると、

少し懸造的なものなのが

わかります。

境内散策

小さな境内ですが、

見所は満載です。

観音堂向かって左側のお堂。

「南潮山」の扁額があるので、

こちらは本堂でしょうか・・・

鐘楼。

俳人、

栗田樗堂(くりた ちょどう)の墓。

案内には、

彼は愛媛県松山の人で、

小林一茶とも交流があった

江戸時代七俳人のひとりで、

御手洗に移り住み、

風味三昧の生活を送り

ここで亡くなったと書かれています。

誰彼塚(たそがれつか)

寛政五年(1792年)

松尾芭蕉の100回忌にあたり

建てられたものです。

亀趺墓(きふぼ)

亀の上に石碑が乗っかったお墓です。

大名以外の亀趺墓は珍しいそうです。

観音堂前でツーショット。

これで参拝は完了・・・

と言いたい所ですが、

同じ境内には神社もあるのです。

荒神社

お寺に神社があるということは、

神仏習合時代の名残かも知れません。

神社側の石段。

相変わらず素晴らしい石垣に

見とれてしまいます(笑)

上って左がお寺、右が荒神社です。

小綺麗なお社に参拝。

今日のマンホール蓋

石垣前のマンホール蓋。

海辺の住吉神社にある、

高灯籠がモチーフです。

 

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