鷲原の大杉(島根県津和野町)
巨木になれる条件
樹齢500年とか1000年とか、
あるいは2000年とか、
そんな昔から平成の現代まで
同じ場所(木だから当たり前か)
同じ環境の中、一本の木が、
ずっと生き続けるのは、
もはや奇跡としか
言いようがないかも知れません。
木として世の中に生まれ、
巨木まで成長出来るのは恐らく
何十万本に1本、
いや何百万本に1本でしょう。
このゼロパーセントに近い確率で
巨木に成長出来る条件はただ一つ、
「幸運」のみ。
豊かな土壌、
降雨量が適切で、
落雷に遭わないなどの気象条件、
切り倒されない、
戦渦に巻き込まれないなどの人的要素。
こんなありとあらゆる条件を
長年クリアしてきた木を
人は「御神木」と呼びます。
確かにもはやだだの木ではなく、
「神」に昇格していますよね。
こんな木を見ていると人の一生なんて、
一瞬の出来事、今持っている僕の煩悩など
この木が見てきた年月を考えると
ほんのちっぽけなものに思えて、
なんだか心が落ち着きます。
鷲原の大杉へ
津和野城から自然歩道を通り
中荒城を偶然発見し、
もうすぐ鷲原八幡宮という地点に
鷲原の大杉はあります。
こんな道をずっと歩いていたら、
視界が開けてきました。
森から抜け出た途端、
かなり古い案内板がありました。
案内では鷲原八幡宮の
御神木となっています。
胸高8.7m。
目通りとも言いますね。
地上から1.3mくらいのところの
幹の回りの長さを言います。
これも巨樹マニア(笑)になって
知ったことです。
杉の木は樹齢が長くても幹回りは
そこまで太くない場合が多く、
その分高さがあります。
戦国時代は戦闘にも巻き込まれ
この辺りは敵軍によって焼かれ、
周囲の大きな杉は焼けて、
この一本だけが残ったそうです。
案内によるとここには愛宕神社が
あったそうで、火事から守ってくれる
火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)を
祀っていたからこの木だけは、
守られたのかも知れません。
大きさ比較写真。
確かに樹齢1000年はうなずけます。
幹のアップ。
ど迫力ですね!
樹勢があって、
あと千年でも大丈夫そう。
御神木の前にあった石積み。
何かの跡でしょうか?
愛宕神社の跡かも…。
鷲原の大杉から
鷲原八幡宮へ降りていく道。
神社の境内へ裏側から入る感覚です。
ようやく樹海から(笑)
空が見える所に出て、ほっとしました。
久しぶりに1000年級の
巨木を見た妻の一言
「500年とかの木は見飽きていたけど
久しぶりこの木は良かったね!」
巨木マニアでもない妻から
こんな発言が出るなんて、
僕の巨木巡りにつき合って、
かなり目が肥えて来たようです(笑)
今日の癒し
鷲原八幡宮境内に入ったところにあった
竹製の風車たち。
祈願の風車のようでしたが、
風が吹くと一斉に回り出す風景は、
何だかとても郷愁を誘い、
とても癒されました。