しとどの窟(神奈川県真鶴町)

 

比定地は二つ

石橋山の合戦で敗れた源頼朝が

身を隠したと言われるのが

「しとどのいわや」と呼ばれる場所で、

Google Mapには、

真鶴町と湯河原町の二つの比定地が

「しとどの窟」として

表記されています。

どっちが本物という訳ではなく、

頼朝たちが逃げ延びる際、

いくつもの隠れ家を転々とした中の

二つが「しとどの窟」として

残っているようです。

妻が是非行きたいといっていた

「しとどの窟」ですから

どっちも行くしかないでしょう(笑)

という事で、まずは真鶴町へ。

真鶴港

こちらの「しとどの窟」は

真鶴港に面しています。

赤丸がしとどの窟で、

ここに隠れていた源頼朝が、

安房に脱出したといわれる海岸まで、

ほどない距離に位置しています。

のどかな漁港の風景。

目指す窟は漁港右側の山裾あたり。

しとどの窟

しとどの窟は、道路脇に

公園っぽく整備されていますが、

特段、「公園」でもない様子で、

とにかく敷地に入ってみることに。

道路から撮影。

「志とゝはし」(しとどはし)は、

昭和11年の建立。

橋を渡ると頼朝観音を祀った、

観音堂があります。

鵐窟しとどのいわや」碑。

案内を書き出すと、

以下になります。

「源頼朝が、

治承4年8月(1180年)

石橋山の戦いに敗れたとき、

この地にあった岩屋に一時かくれて

難を逃れました。

その時、大庭景親の追手が

あやしんで中をのぞくと

「シトド」といわれる鳥が

急に舞い出たので、

人影はないものと

立ち去ったということから

鵐窟といわれ、

かつては高さ2メートル

深さ10メートル以上の

大きさがありました。

江戸時代に隠山道人による

頼朝画像と銘文のある

石碑が残っています。」

次に新しい案内板へ。

石碑と重複する箇所以外を

要約すると、

以下になります。

「波の侵食によってできた海食洞は、

しとどの窟と呼ばれています。

1180年(治承4年)、

石橋山の合戦で

平家に敗れた源頼朝は

箱根山中や湯河原のしとどの窟などを経て、

最後はここ真鶴のしとどの窟に

身を隠しました。

追っ手をやり過ごした頼朝は、

7人の家臣と共に真鶴の海岸から

安房の国へ脱出したと伝えられています。」

しとどの窟へ。

こちらは案内の石碑に書かれていた、

隠山道人による

頼朝画像と銘文のある

江戸時代建立の石碑です。

銘文だけでなく、

絵まであるのが凄いですね!

絵の部分を拡大してみました。

優しさの中に

凛々しさが詰まった

素朴な頼朝さんの肖像画に、

ちょっと癒やされます。

いよいよ中を覗きます(笑)

幅は2m、奥行きは3~4mほどで、

奥には石像が安置されていますので、

まずはご挨拶。

先程の新しい案内には、

「頼朝の時代には130mの奥行きが

あったといわれる窟も徐々に波に削られ、

幕末には幅3m、奥行き11mほどの

大きさとなっていました。

当時の窟は海に面していましたが、

大正関東地震による土地の隆起で、

現在の高さとなります。

さらに第二次世界大戦時、

真鶴岬溶岩

(安山岩質)から成るこの場所は、

三浦半島に飛行場を作るため、

資材として多くの石が切り出され、

今の規模となりました。」

このように書かれています。

洞窟が小さくなってしまったという話、

西南戦争の時、鹿児島の城山で、

西郷隆盛が籠もっていた洞窟と同じですね。

西郷さんの方は、

シラス大地の侵食による縮小が、

今もなお進行して、

存続の危機とも言われていますが・・。

品川台場礎石之碑

ここ真鶴は、幕末、

外国船への備えとして作られた

品川台場の石を

切り出した所でもあり、

関連の石碑が建っています。

「品川台場礎石之碑」

たまたまですが、

しとどの窟前にある

江戸時代建立の石碑が、

左後方にさりげなく写り込んでいます。

「おいおい、ちょっと待て!

ここの主役はわしじゃ!」

な~んて頼朝さん言ってるのかな?(笑)

裏面の案内を

抜粋・要約すると

以下になります。

「嘉永六年に出来た台場が、

埋立工事により失われるに際し、

礎石の一部をここに移し碑を建つ。

礎石の大石が当地産出の

名石である事を世に残し、

採石の苦労を偲び、

石材関係者の発展を祈り

この地に於いて保存する。」

このように書かれ、

この石碑の建立に私財を投じた

二人の名士を湛えています。

いつか品川台場に行った時、

ここ真鶴の石材を思い出す・・・

かも知れません(笑)

 

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