牛嶋天満宮(佐賀県佐賀市)前編
佐賀城の鬼門守護
牛嶋天満宮は佐賀城の北東、
いわゆる「艮」(うしとら)の方角に
鎮座しています。
社伝によると
鬼門と言われている艮の方角を
守護する事を目的に、初代藩主
鍋島勝茂がここに移し祭ったと
書かれています。
東京で言えば、
江戸城に対する神田明神、
福岡だと
福岡城に対する水鏡天満宮、
広島城の東照宮、福山城の艮神社、
書けばきりがないか~(笑)
という事で、牛嶋天満宮は、
このような神社達と同じ使命を帯びた、
鬼門鎮護の重要な神社というわけです。
牛嶋天満宮へ
佐賀市内周辺は、
素敵な神社が集まっている
神様たちの楽園?みたいな町です。
その中でも、気になっていたのが、
ここ牛嶋天満宮。
佐賀市内に北東(艮)の方向から
侵入(笑)した僕たちが、
佐賀市に入って最初に参拝したのも
鬼門守護の神様が、
まずは僕たちを
検分される為だったのかもですね(笑)
一の鳥居。
車一台がギリギリ通れる幅で、
左折でここに入る時には、
鳥居にぶつけないよう
かなりドキドキしました。
社頭の二の鳥居は、肥前鳥居で、
しかもの古いタイプです。
寄進された年などは、
発見出来ませんでしたが、
恐らく江戸時代初期のものでしょう。
肥前鳥居、
何度見ても素晴らしいデザインです。
「貫」の部分は後から新調されたので、
少し色の違いがあるのかも知れません。
しかし、部分的に崩れたとしても、
修復しながら、こうやって後世に
佐賀独自の文化を残していくのは、
とても大切なことだと思います。
肥前鳥居のすぐ手前左手、
石橋を渡ったところに境内社の
金毘羅大権現が見えています。
本来なら本社に参ってから
境内社への参拝という順序ですが、
古い石橋が「渡って~~!」と
声をかけてくれた気がしたので、
先に参拝となりました(笑)
金毘羅大権現から戻り、
この太鼓橋(神橋)を渡り、
本殿へと向かうのですが、
この石橋、素晴らしい江戸情緒を
醸し出していますね!
(江戸時代のものかは不明ですが)
赤い色は後世になって
塗られたものでしょうか、
目を引きます。
神橋の左奥には、巨大なクスノキの幹が
お堀のような外周に張り出していて、
圧倒的な光景を目の当たりにした僕は、
ワクワク感が抑えきれなくなってきます(笑)
このクスノキについては、
後編で、その凄さを書く予定ですので、
ここは、この一枚のみにて次に進みます。
楼門。
楼門前には、
寛政八年(1796年)生まれの
狛犬が、めでたい紅白の
ねじり鉢巻で鎮座。
吽形。
拝殿へ。
御由緒は社頭横側にあります。
左側の牛嶋天満宮御由緒に、
「菅原道真の末孫、
牛嶋教正公が創建」
と書かれていますので、
ここは菅原道真公直系子孫が
御祭神の神社という事になります。
そして、それ以上に見入ってしまったのが、
「神橋前の肥前鳥居の銘には、
藤原朝臣勝茂・・・と
かすかに残っていることから、
慶長頃造営されたと思われる」
という一文です。
藤原朝臣勝茂とは、佐賀の
初代藩主、鍋島勝茂の事ですし、
先程も書いたように
デザインからしても、
慶長期(1596年から1615年)
というのは、
間違いないでしょう(上から目線?笑)
手水鉢には竹を使った
デザインが施され、
手前の竹はお手水の際に
流すのにも機能的です。
拝殿。
唐破風のデザインと
白色の壁に茶色の格子、
そして縁周りの朱赤の配色も
素晴らしですね!
昭和五年寄進の拝殿前狛犬。
体の割に足が太く
なんだか強そうです(笑)
参拝。
右は本殿。
本殿の彫刻はなかなか細やか。
本殿後ろから。
本殿左手にある石塔。
真ん中の石塔には、
「法華一萬部」と
刻まれていますので、
江戸時代まで、ここも
神仏習合の場所だったのでしょう。
境内端にまとめて置かれている
石祠や恵比寿像。
膨大な数です・・・
しかし、
「打ち捨てられた感」が、
まったく無いのです。
むしろ、「大切にされている感」が
ひしひしと伝わって来ます・・・
江戸時代までは村ごとや、
辻ごとにあった石仏、石祠が、
明治政府の方針だった合祀で、
なくなり、ここに集められた感じです。
先祖が祭っていたものを
今もなお大切に保管されている
牛嶋天満宮に、益々魅力を
感じてしまいますね!
境内社
牛嶋天満宮には、
いくつもの境内社が鎮座しています。
稲荷大明神。
ここで、会いたかったのが、
こちらの狛犬です。
僕が、神社巡りのバイブルとして
拝見させていただいている
神社探訪・狛犬見聞録という
サイトで見つけていたお一人様狛犬。
きっとかなり古いものでしょう。
今日は紅白のねじり鉢巻で、
パワーアップしています(笑)
参拝。
牛嶋社と刻まれた祠。
白太夫神社。
教会みたいにレンガ作りの神社とは、
超レアなものでしょう。
案内によると
御祭神の渡會春彦命(白太夫命)は、
菅原道真公の養育役だった方です。
渡會(わたらい)という名字から
伊勢神宮外宮の社家と
関係あるのかと思って読み続けると、
やはり伊勢神宮の神官の方でした。
満天恵比須。
満天恵比須の案内。
学問の神様、菅原道真公とともに
合格をバックアップしてくれるようです。
御朱印は社務所に
書き置きしてあるものです。
季節を感じさせるホウズキの印が
押してあるのが、いいですね!
ここで、ツーショット。
今日の発見
葉隠太鼓。
途絶えていた太鼓が復活したのは、
今から十数年前のことで、
ここ牛嶋天満宮が、その稽古場に
なっているそうです。
太鼓も含め、鳥居、祠など
伝統を残して、後世に伝えまくっている
牛嶋天満宮は、天満宮ならぬ満天宮、
いや満点宮ですよ!