紫電改展示館(愛媛県愛南町)
戦争を知る事が平和への近道
ゼロ戦の後継機とも言うべき
日本海軍最後の戦闘機
紫電改は、
大東亜戦争末期その姿を現し、
終戦までの最後の半年間を全力で戦い、
その搭乗員である
多くの若者は大空に散っていきました・・・
そして、終戦のわずか20日ほど前、
昭和20年7月24日、
長崎県の大村基地から飛び立った
紫電改のうち、6機はアメリカ軍に
撃墜され豊後水道の海に沈みました。
その紫電改のうちの一機が、
愛媛県愛南町(旧城辺町)
久良湾の海底で見つかったのが、
1978年(昭和53年)の事。
引き上げられた紫電改は、
今この紫電改展示館に
羽をおろしています。
紫電改展示館へ
愛南町で、第一の目的はここでしたが、
宇和展望タワーの始発乗るため、
その後の訪問となりました。
タワーからは約250mの下りで、
あっという間に到着です。
紫電改展示館と
宇和海展望タワーのツーショット(笑)
こちらが正面。
入口。
そして、入ると、いきなり
紫電改が目に飛び込んできます。
出来るだけ引き上げられた時の姿を
残して欲しいという、
御遺族の希望などもあって、
プロペラは曲がったままだし、
尾翼も穴があいたままです。
その姿からは、
いっそう、戦争の悲惨さが
伝わって来るような・・・
機体の前に紫電改の
ビデオがあったので、
まずは鑑賞です。
その題名は、
1本目が、
紫電改
~最高の戦闘機を開発せよ~
二本目が、
剣部隊の6機帰還せず
~よみがえる空の勇者~
合計20分以上も
素晴らしいビデオを堪能。
予備知識を
妻にもインプットしたところで、
館内の散策です。
いや即忘れるからそれは無理かな(笑)
鎮魂の飛行機・・・
鶴がたくさん手向けられています・・・
戦闘でお亡くなりになった6名の
写真が機首部分に掲げられています・・・
この機体からは、
ご遺体や遺品は見つからず、
6名のうち、どなたが搭乗していたものかは、
わかっていません。
なので、この紫電改には、
6名のご遺族がそれぞれが、
思いを込められ、慰霊されています。
僕は、搭乗員の特定が出来なかった事は、
この機体を操縦していた英霊の
仲間の隊員を思う、
強いご遺志だったのではないか?
そう思っています・・・
合掌。
後部から撮影。
ゼロ戦では攻撃力一辺倒で、
防御の思想が少なく、
裸同然だった燃料タンクも
紫電改では、アメリカ軍機なみに、
防弾となり、自動消火装置までが
付けられています。
紫のマフラー
僕が展示物で、心を打たれたものが、
この「紫のマフラー」です。
搭乗員たちが首に巻いていた
マフラーの逸話が書かれていました・・・
元、紫電改搭乗員の
笠井智一さんからの寄贈です。
内容を少し抜粋すると、
松山の食堂のおかみさんだった
今井琴子さんが、搭乗員たちのために
自分が嫁いだ時に作った
白無垢の色を紫に染めて
作ったマフラーのお話です。
紫電改だから紫にしたとか、
高女の女学生が刺繍をしたとか、
心のこもり方が涙ものなのです・・・
38枚のマフラーは、多くの戦死者とともに
なくなりましたが、現在、3枚が残っていて、
そのうちの一枚が笠井さんのマフラーです。
女学生が刺繍した言葉は、
「ニッコリ笑えば必ず撃墜(おと)す。」
笠井さんの隊で、撃墜王と
言われた杉田上飛曹の座右の銘です。
そして、また泣かせるものが・・・
デジタル紙芝居、
「紫のマフラー」
心に響く、そして、
心に残る秀作でした・・・
紫電改の引き揚げ
引き揚げに関する展示物も
充実しています。
昭和53年11月に発見され、
翌年の7月14日に引き揚げられています。
命日の7月24日に慰霊が出来るよう、
かなりの急ピッチで準備がされたのだと
推察出来ますね。
展示物。
同じ航空隊の搭乗員だった
宮崎勇氏の著書
「還ってきた紫電改」からの文章が
掲示されています。
「海水がポタポタとしたたり落ちた。
風防の先端に、
季節の花が可憐にゆらいでいた。
潜水作業をしたダイバーの皆さんが
供えてくださったものである。
それを見た米田、溝口君らのお母さん、
武藤さんの奥さんたちから、
いっせいにすすり泣きの声がもれた」
言葉になりませんね・・・
確かに風防には、花が置かれています・・・
その他
展示されている紫電改は、
高い位置からも見られます。
こんな風景を見ていると、
見つかって本当に良かった・・・
そう思います。
松山基地のジオラマ。
紫のマフラーの逸話がある
あの松山基地です。
現代のパイロットたちも
ここを訪れていました。
先人たちの足跡を見て、
航空自衛官は、
何を思うのでしょうか・・・
館外へ
こじんまりした施設に
1時間をはるかに超える
滞在時間とは、
僕にとっては中身が、相当に
濃いかった証拠です。
そして、最後に外へ。
海側から見た紫電改展示館。
同じ航空隊の方からの献上の桜です。
海の傍には鎮魂碑が建っています。
合掌。
お土産
これほど素晴らしい施設なのに、
入場は、無料。
維持管理も大変なはずでしょうが、
永遠に残して欲しい場所なので、
少しでも運営のお役に立てればと思い、
こんなものを購入しました。
紫電改せんべいを搭乗員の眠る海に捧ぐ。
この海の先で眠っていた紫電改、
今は、煎餅の箱の中で、
飛び回っています・・・
もう一つ、
「紫電改クリアファイル」も
買いましたが、写真の
妻の顔が疲れていたので?
掲載は見合わせております(笑)