諏訪原城(静岡県島田市)前編

 

丸馬出(まるうまだし)だらけ

諏訪原城を築城したのは

攻撃と防御の拠点である、

丸馬出の築造を得意とする武田氏。

その後、徳川家康が城を奪取、

丸馬出を巨大化し、数を増やし、

防御・攻撃機能を昇華しています。

実際に訪問してみると

その遺構のメインである

徳川期の丸馬出しは、

当時の姿に綺麗に整備され、

僕はその丸馬出に没頭していました。

しかし、

妻は、「馬出、見飽きた~」なんて、

最後は少々退屈気味(笑)

確かに、

馬出に特別興味ある人以外は、

そんな気分になるくらいに、

「丸馬出」だらけな諏訪原城なのです。

散策スタート

諏訪原城ビジターセンターで、

事前情報を収集した後は、

諏訪原城内の散策へ。

「現在地」からスタート。

城内へ。

大手南外堀。

今福浄閑戦死墓塚

城域に入ると、

左回りに巡るのが、

正式な順路となっています。

(実際に巡りやすい)

案内も完璧。

そして、ここで妻が雄叫びを(笑)

「あれ、見て!」

そう言われ案内板から

回れ右して大手曲輪跡に作られた

茶畑を見てみました。

整然と並んだ茶畑の一部が途切れ、

何やら石碑が建っていて、

そこまで行く道までもが作られています。

「武田方当城主

今福浄閑戦死墓塚」

このように書かれ、

右側面には、

「天正三年八月二十日

城内乾曲輪にて戦死」

そして、背面には、

墓塚を建てられた今福家の子孫の

お名前が刻まれています。

城代として、

諏訪原城を守っていた人でしょう。

同じ天正三年五月、

長篠の戦いで大敗した

主君、武田勝頼の求心力は落ち、

諏訪原城への援軍も無く、

味方は散り散りに逃げる中、

最後まで武田家に

忠誠心を持って戦い、討死した事は、

子孫の誇りなのかも知れません。

大手北外堀

少し行くと、

浅い空堀が見えてきます。

大手曲輪のように

茶畑になっていなくて良かった(笑)

「史跡 諏訪原城跡」の石碑と

背後の杉林とのコントラストが

何だかカッコいいですね!

番小屋

次は丸馬出そばの番小屋跡へ。

案内によると

「建物内では武具や武器に使用する

鉄製品の簡易的な修繕も

行っていたと考えられる。

二の曲輪中馬出の出入口で

確認された建物であるため、

見張り番がいる番小屋的な

要素を持った施設と思われる。」

このように書かれています。

二の曲輪中馬出

諏訪原城の代名詞、

巨大な丸馬出と三日月堀と

遂にご対面!(笑)

 

ここも素晴らしく整備されています。

ビジターセンターのジオラマも参考に・・

まさにココですよ!!

地元、島田工業高校の

生徒たちが精魂込めて作ってくれた

秀逸なジオラマに改めて感謝です。

近影。

動画でも撮影。

足軽の気持ちになって、

三日月堀に降りてみます。

堀に落ちると、馬出からは、

このように鉄砲で狙い撃ちされ

ここであえなく討死(笑)

馬出内から撮影。

丸馬出の三日月堀は、

二の曲輪北馬出に向かい、

薬研堀としてそのまま伸びています。

丸馬出から見た薬研堀。

ここからだとV字に掘られているのが、

よくわかりますね。

二の曲輪

丸馬出から土橋を通って二の曲輪へ。

曲輪の左半分くらいの風景。

二の曲輪から内堀を挟んで、

先程見た丸馬出方面を撮影。

広さを知るには動画がいいかも?

本曲輪

次に本曲輪へ。

相変わらず案内が親切です。

土橋。

その両側は当然の如く空掘です。

土橋右側の空掘。

案内によると

「幅約20m、深さ約10m、

堀は逆台形の形に掘られた箱堀で、

堀の底の幅は6.75m」

このように書かれています。

この堀よりも内側が、

武田時代の遺構とも重なるようで、

家康時代に比べ、かなりコンパクトです。

案内を要約すると

「焼土を挟んで、

上下二時代の遺構面

(当時生活していた平坦面)

を確認した。

焼土より下の遺構面が

武田氏時代のもので、

上面が徳川氏時代と考えられる。」

このようになります。

枡形部分、そして奥へ。

本曲輪の端っこは断崖になっていて、

ここからは大井川など、

素敵な景色が広がっています。

戦国の世、見張りをするには

ここは好都合だったでしょう。

まさに「後ろ堅固な城」の

面目躍如ですね。

そして今、こうして僕達が

戦国武将の気分を味わえるのは、

次の写真のような、

地元の方々の努力があったからです。

木々は伐採され、

直下の曲輪も見えるように

綺麗に整備されています。

有り難し、諏訪原城愛!

さらに、

伐採された木々はベンチとなって、

いまでも生きています。

どんだけ優しい諏訪原城の

地元の方々なんでしょう!

愛を感じたところで、

本曲輪を後にします。

(続く)

 

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