阿弥陀寺(防府市)湯屋・石風呂
東大寺のmade in 山口
行基菩薩が勧進を務めた、
天平時代建立の東大寺大仏殿は、
平安時代末期に戦火で焼失し、
鎌倉時代初期に再建されました。
そんな再建された東大寺大仏殿と
その他の伽藍で使われた主要な木材は
山口県(周防国)から切り出された
樹齢800年の巨大なヒノキです。
残念ながらその大仏殿は、
戦国時代に焼失してしまい、
今はその勇姿を見ることはできませんが、
同時期に再建された巨大な南大門は、
今も鎌倉時代再建当時のまま、
「made in 山口」の荘厳な柱が支え、
多くの観光客を出迎えています。
山口県には、ここ阿弥陀寺や、
実際に樹齢800年のヒノキが伐採された
山口市徳地の月輪寺など、
重源上人が東大寺伽藍再建時に
活躍した痕跡がいくつも残っており、
山口県の果たした役割の大きさを感じ、
改めて東大寺と山口県との関係の深さを
知ることができます。
東大寺の「made in 山口」、
もっと知って欲しいものですね!
湯屋
仁王門をくぐると
道は二手に分かれます。

真っ直ぐ行くと本堂ですが、
まずは右に折れ、湯屋と石風呂という
重源さんの偉大な功績を
体験することに。

湯屋が見えていますが、
その手前の石垣に、
不思議なものを発見しました。

石垣の中を空洞にして、
竹で柵を設ています。
左には「南無阿弥陀仏」と刻まれた
弘化三年(1846)再建の
石碑がありますが、
この石垣の空洞と関連があるのか
否かもわからず、
これが一体なんなのかと思い、
パンフレットの地図を見ると
ここも「石風呂」と記されています。
もちろん現役ではなく、
江戸時代以前に石風呂として
使われていた場所なのかも
知れませんね。

湯屋に到着。

「東大寺別院阿弥陀寺湯屋」
「建坪47.38㎡、焚口・鉄湯釜
・湯船(石材)・洗い場(石畳)
・脱衣場からなり、
湯釜と湯船を別々に設けた
鎌倉時代以降の古い様式を伝えるものです。
現在でも7月の開山忌には
湯を立てて入浴を行なっています。」
そして、
さらに詳しいのが
こちらの解説です。

「国指定有形民俗文化財
阿弥陀寺の湯屋
附指定 旧鉄湯釜一口 旧鉄湯舟残欠一口」
以下、全文です。
「鎌倉時代初頭、東大寺大仏殿の再建のため
周防国に派遣された俊乗房重源上人は、
阿弥陀寺の創建にあたり
念仏の道場と湯を浴び身体を清める
湯屋を建てました。
当時の湯屋は医療を目的とする
施浴の施設でもありました。
阿弥陀寺の湯屋は、
建久8年(1197)建立の鉄宝塔の銘文や
正治2年(1200)の古文書にも
その名が見える由緒あるものです。
阿弥陀寺は戦国時代に衰えた後、
江戸時代になって
伽藍を復興する気運が高まり、
その一番手として
延宝年中(1673〜1681)に
湯屋が再建されました。
内部にある切り石の風呂屋形は、
この時のものです。
その後、風呂屋形は一部崩れながらも
洗い場として
そのまま使い続けられてきました。
外部の木造の覆い屋は
何度か建て替えられ、
現在は、釜場、洗い場、脱衣場の
3部からなる建物となっています。
この湯屋は、中世からの
施浴の様式をうかがえるものとして
昭和47年に
国指定重要民族資料(旧種別)に
指定されました。
湯浴みは、
今でも7月の開山忌に行われています。
覆い屋の外に突き出た石水舟に
ひしゃくでくみ入れ、
それを洗い湯で浴びる
「取り湯」という方式です。
ただし、現在洗い場となっている
切り石の風呂屋形は、
湯釜の湯気を引き込む
密室構造になっていたと考えられており、
もとは蒸風呂として
使われていたとも推測されます。
平成12・13年の解体修理で、
風呂屋形の石の欠失した部分を
木材で補い復元しています。
石湯舟と石水舟には、文政3年
(1820)の年号が刻まれており、
この修理で取りはずされた
鉄湯釜にも文政11年(1828)の年号が
刻まれています。
この文政の鉄湯釜も、
鎌倉時代の湯屋のものと伝えられる
旧鉄湯釜と旧鉄湯舟(残欠)とともに
当寺に保管されています。
なお、この修理のともない発掘調査を行い、
創建当時に旧鉄湯釜を据えたと考えられる
竈の跡が発見されました。」

詳しい平面図など。

湯屋内部へ。

鉄湯釜を配置する石釜。

覆屋の外から見た石水舟。

脱衣場もあります。
石風呂
次に現役の石風呂へ。

この周囲には石風呂で使う薪が、
次なる出番を待っています。

「東大寺別院阿弥陀寺石風呂」
以下、全文です。
「重源上人(阿弥陀寺の建設者)が
東大寺用材の伐りだしに従事する人夫たちの
病気治療や疲労回復のために
設けたものと伝えられています。
入浴方法は内部で薪を焚き、
残り火をかき出し、
石菖を敷き、その上にムシロを置いて
着衣のまま横たわる。
まさに鎌倉時代のサウナといえます。
新しい石風呂では、
地元の世話役が毎月第1日曜日に
定期的に焚いています。
神経痛や腰痛に
よく効くといわれています。」
とにかく人夫愛に溢れていた重源上人、
お風呂まで造ったことで、
人夫たちのモチベーションアップは、
相当なものだったと思われます。
行基菩薩もそうですが、
大事を成し遂げる人に共通するのは、
現場の人々への
比類なき愛情かも知れません。

建物へ。

壁には短歌もありますが、
最初が読めません(汗)

毎月第一日曜日に入れるようです。

石風呂全体像。

正面入口。
500円の薪代のみで
石風呂体験が出来るとは、
これはかなり贅沢ですね!
そして、
最後に気づいたのがこちらです。

「珍百景」!
認定されていたんだ〜(笑)
(続く)