諫早城(2019年初詣の旅)
無くしてから気づくもの
明治に入って多くの城が壊されました。
時代の流れからしたら
お城なんて時代遅れ、無用の長物
としか思われなかったのでしょう。
そして、時は流れて昭和、平成・・・
江戸時代の天守が、そのままある城や
遺構がしっかりと残っている城址は、
天守を再建したりして、
観光の大きな収入源になっていました。
「あ~あの時壊さなきゃ良かった・・」
そんな思いを持ちながら
あきらめるしかないお城、
何とか復活させようとするお城、
様々な思惑が錯綜したことでしょう。
「無くして初めて大切なものに気づく」
人間はこの繰り返しです・・・
そんな中、諫早城は恐らく後者でしょう。
公園化され城の痕跡も
あまりなくなっていますから・・・
それでも復活させるというか
お城を案内する意気込みは、
大いに感じました!
遺構が少ないながらも案内は秀逸で、
往時の様子を想像して楽しめましたから。
諫早城
諫早公園の案内です。
「諫早公園の山は、山城だった!」
キャッチコピーが気持ちを表していて
少し笑ってしまいました。
きっと諫早市の役人も住民も
ここが「ただの山にある公園」としか
認識してこなかったのでしょう。
でも気づいたからには、
しっかりと案内する精神には敬服します。
要所要所に置かれた案内板には、
詳しい説明も書かれていて、
本当に有り難いものです。
ここが大手門だった場所。
今は・・・面影はありませんが。
虎口(こぐち)跡。
やはり公園化であまり虎口の形状は
分かりません。
石段は公園化された時の
ものみたいですが、
ひょっとすると江戸期のものも
あるかも知れません。
石垣の名残かも?
本丸から一段下の「東の丸」
右の小高い山の上が本丸。
ここは武者走りがあった場所ですが、
今は幅が広げられているので、遺構は
わかりませんでした。
本丸の広場。
ここで目に飛び込んでくるのは、大クスです。
国指定天然記念物となっているクスノキ。
幹のアップ。
目通り(地上から1.3m)12m
樹高30m、樹齢600~800年。
幹の太さからして、
樹齢もこのくらいは妥当かと思います。
(樹齢のサバを読んで案内している
巨木が多いのでついしっかり
考えてしまいます・・笑)
逆側からも撮影。
大きさの比較写真。
囲いがあって中に入れないため、
妻は大クスのかなり
手前に立っていています。
実際はもっとクスが大きく見えるはず(笑)
碑文には、
お城の持ち主だった諫早家が、
大正八年に市民に城を開放し
その後昭和三十三年に諫早市に
寄贈された事が書かれています。
高矢倉。
ここも痕跡は無いながらも
案内は素晴らしいものがあります。
高矢倉からの景色。
確かにここに矢倉(櫓)があれば
敵を一望できそうですね!
高城明神
麓の高城神社は明治時代の創建ですが、
山頂の本丸に建てられた
高城神社の本宮のような存在である
高城大明神は江戸時代の創建です。
本丸手前の鳥居。
左側には大クスも見えますね。
鳥居から臨む本丸。
鳥居を本丸側から見ると、
天保十四年(1843年)の
建立となています。
高城明神の創建が天保十三年なので、
その創建に合わせて造られた鳥居でしょう。
奥に何か石塔が見えます。
東郷平八郎元帥により
「忠魂」と書かれています。
その忠霊塔の裏に見えてくるのが、
高城明神です。
古い写真を見ると、
江戸時代はもっとクスノキ側にあったようです。
横からの全景。
龍造寺家の遠祖である
藤原鎌足を祀った藤原明神と、
諫早家初代の龍造寺家晴を祀った
高城明神が並んでいます。
案内には亀城とも呼ばれた諫早城の
亀にちなんで、作ったと書かれています。
左右は造られた年も違いますし
亀の表情も違います。
しかし、亀の上にこのような塔があるのは、
神社では珍しいものではありませんので、
亀城云々のくだりは、
後付なのかも知れませんね。
遠祖の藤原鎌足の祠が右の大きいもので、
左が龍造寺家晴の祠です。
2つの祠とは区画を隔て
左側には「八天狗」と
書かれた祠があります。
本丸
高城明神からさらに奥に行くと、
本丸の居城跡があります。
相変わらず立派な案内です。
石垣?礎石?
間違いなくこれは遺構でしょう。
こちらも遺構。
本丸から麓に戻りながら見た
石垣の遺構らしきもの。
山から降りた場所には鳥居がありましたが、
神額の文字は消えていて読めません。
ひょっとすると江戸時代からあるものかも
知れませんが、全容は不明です。
これで、諫早公園内にある
諫早城、大クス、高城神社、
高城明神、眼鏡橋などの散策は完了です。
Comment
残念ながら諫早城に関しては明治の廃城令はほぼ関係ありません。
というのも諫早城は江戸時代半ばにはすでに廃されており、政庁としての機能は麓の諫早陣屋に移されていたからです。
太田様、こんにちは。
諫早城の歴史につきまして、
大変ご親切に教えていただきまして、
ありがとうございます。
心から感謝しております。