2020/03/16

佐敷城の旅(熊本県芦北町)後編

 

遺跡の残し方

昭和の時代、多くの城跡に

コンクリート製の天守(天守閣)が

建てられました。

お城によって、

主旨は違ったかも知れませんが、

基本は観光振興の為でした。

その中でも熊本城のように

時代考証の元、

外観だけを忠実に復元したものや、

以前の形とは無関係に、模擬天守を

作ったもの、

また、元々は天守などなかったのに、

天守を作ったもの、

もっと行くと、

お城なんか全く無かった山に

ただ観光客目当てに

天守を作ってしまった例もあります。

そんな時代は、それで良かったと思います。

何故なら、例えコンクリ製でも

昔の形と違っていても

今、僕たちはお城を楽しむことが出来、

その天守があることで、

写真も楽しく撮れるのですから。

しかし、時は流れて平成の世の中になると

「本物」を求められる時代に変化してきて、

時代考証や昔の建築物の設計図が

あるかどうかなど基準が厳しくなり

お上から簡単に模擬天守を作る許可が

簡単におりなくなったようです。

この佐敷城も一時は模擬天守を作って

観光振興を考えた時代もあり、

地元でも賛成反対があったようですが、

結果は、残った遺跡を修復して、

綺麗に保存する方向でした。

僕も実際に訪問して、この佐敷城を

後世に残す最高のやり方だと思いました。

天守台へ

神社(社)があった三の丸から

歩いて大手道を進みます。

大手門方面の石垣も見えます。

大手門(追手門)

素晴らしい石垣と石段に感動!

追手門(おうてもん)の

表示となっています。

意味は大手門(おおてもん)と同じで

表の門の意味です。

ちなみに裏門は搦手門(からめてもん)です。

この追手門の中で見つかった

天下泰平と書かれた鬼瓦の出土地点。

戦国末期か江戸初期なのでしょうが、

その頃の人々も平和を

愛していたに違いありません。

追手門の頂上付近から見た

二の丸に入る枡形虎口(ますがたこぐち)。

大きな枡形虎口です。

石垣の黒さが

精悍な雰囲気ですね。

かなり大規模な虎口です。

石垣が綺麗に残されていて、

思わず沢山写真を撮ってしまいます(笑)

敵がここに侵入したら三方から

銃撃しまくられますね(笑)

虎口から見た本丸、天守台。

二の丸に登って見下ろす枡形虎口。

二の丸から追手門を見下ろす。

虎口から東門を臨む。

本丸と天守台。

本丸に向かう、東の枡形虎口。

ここから天守への階段が見えます。

ここにも神社(祠)があり、

梵字のような二文字の下に

「山王三所権現」と刻まれているので、

まだ神仏習合の時代(江戸時代)に

作られたものと推測できます。

こちらも風化して読めないので

いつごろのものか不明ですが、

かなり古い感じがします。

そして、僕が一番注目したのはこれ!

鉄砲の銃弾が貫通した穴でしょうか?

貫通していないものも幾つかあって、

これは人為的なものとしか考えられません。

まさかここに盃状穴(はいじょうけつ)を

彫ったという訳ではなさそうなので、

謎は深まるばかりです(笑)

ここで解説。

盃状穴とは子宝や安産を祈願して彫った穴のことで、

江戸時代までの手水鉢などに多く見られます。

その盃状穴の写真がこちら。

江戸時代末期のものですが、

ここまで盃状穴が沢山あって、

鮮明に残っているのは

かなり珍しいものですね。

そして、この鉢は、

石原さとみ主演のテレビドラマの

「地味にスゴイ!DX」で

「古賀神社のはち」という

キーワードで放映された

ハートの手水鉢なのです。

話しが外れそうなので、

佐敷城に戻ります(笑)

左の石段を登ると本丸天守台です。

天守台からの眺望。

天守台から搦手門方面の石垣を撮影。

搦手門方面の先には海が見えますね!

正面には佐敷駅があります。

搦手門を降りて撮影。

石垣と海を背景にツーショット。

このあと、ある事実を発見!

案内を見ると、二度壊された石垣の上部を

復元して今の佐敷城の遺跡があるようです。

ここの石垣の下半分は昔のもの

上半分は平成になって

復元修復されたものですが、

ここまで境目も質感も変わらず

復元している石垣は見た事がありません。

まさに見事としか言いようがない復元技術。

いや〜感服です!

天守台東側から撮影。

石垣の先には青い海が広がって、

なんとも言えない素敵な景色ですね!

最初の地点(搦手門)に戻って

これで佐敷城の散策は完了です。

佐敷城は小規模ながらも

本丸、二の丸、三の丸と

全ての郭(くるわ)に石垣がぎっしりと

施されていて、その遺構が整備されて、

実に見応えあるお城で、

また、ここからは素晴らしい景色も見られ

展望施設としてもお勧めスポットです。

 

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