臼杵護國神社(大分県臼杵市)

 

戦後も招魂社だった神社

神社の由緒略記によると

明治11年に創建された

西南の役での戦没者や、

地元の英霊の方々を祭る招魂社と

翌年、明治12年に創建された

歴代藩主を祭る稲葉神社が、

昭和35年に合祀され、

現在の臼杵護國神社となっています。

招魂社という名前が、

戦後15年も使われていたのは

珍しいな~と思って調べると

実は戦前に国の方針によって、

一度招魂社から護国神社という名に

変わっていたのを

戦後それをまた招魂社に戻していました。

敗戦後GHQに睨まれるので、

「護国」という名前を変えることを

余儀なくされた全国の護国神社でしたが、

「招魂社」に戻した例もあるとは、

初めて知りました。

これならば英霊の皆様も納得されたのでは

ないかと推察されます。

御社殿へ

御社殿は、臼杵城の二の丸にあります。

平成27年に奉納された木製の鳥居。

少し前の写真を見ると、ここには、

以前あった石鳥居の柱だけが残り、

この一帯は立入禁止となっていました。

参道。

樹齢150年前後の

杉の御神木が見えてきます。

創建当時に植えられた杉でしょうか、

参道の両脇にすっと伸びて、

参拝者を歓迎してくれます。

拝殿。

ここは遥拝所のような機能で、

本殿の前にももう一つ拝殿はあります。

「招魂社」という扁額の文字は、

15代藩主稲葉久通の書です。

家紋が入っているので、

手水鉢も稲葉さんからの寄進と分かります。

社殿風景。

神門。

御祭神は、

稲葉良通ならびに歴代藩主、

国家公共に尽くされた人の神霊と

書かれています。

合祀したので、当たり前ですが、

藩主と戦没者が一緒に祭られるのは、

僕たちが臼杵の旅の前週に訪問した

備後護国神社の福山藩主、

幕末に活躍した阿部正弘と戦没者達とか、

他にも同じような例はあるようです。

御社殿の前には池のある庭が広がります。

石橋を渡って拝殿へ。

左が拝殿、右が本殿。

本殿横には歴代藩主と

その時代背景や功績などが

案内されています。

やはりこのような案内があれば

よりお城散策が楽しめるし、

興味も深くなるのではないでしょうか。

不老不死の薬、

天台烏薬(てんだいうやく)の案内。

秦の始皇帝に使えていた徐福が

和歌山県熊野で天台烏薬の木を見つけた

故事にまつわるもので、

その木が左側の木です。

臼杵藩の藩政の立て直しを成功させた

村瀬庄兵衛の功績を称える石碑。

神楽殿

臼杵護國神社には、神楽殿もあります。

神楽殿。

明治42年の増築で、

臼杵市指定有形文化財に

指定されています。

「神楽殿」の文字は「招魂社」と同じ、

稲葉

二人の写真も完了。

今日の英霊

参道の途中にあった

臼杵出身の軍人、

木梨鷹一(きなし たかかず)

海軍少将についての案内です。

僕は小学生の頃、ここに書かれた

アメリカの空母ワスプを、

日本の潜水艦が魚雷で

撃沈した史実は知っていましたが、

その艦長が、臼杵の方だとは知りませんでした。

この案内がきっかけで木梨鷹一氏を調べると

Wikipediaには大変興味深い事が

記述されていました。

海軍兵学校での卒業順位が、

255人中255番、

要するに最下位での卒業なのです!

海軍兵学校自体は

海軍の将官になる為の超難関校なので、

それでも優秀な人材には間違いないのですが、

海軍は卒業順位でその後定年までの待遇は

決定されるというものでしたから

そのままならば将校ではあっても

重要なポジションには就けなかったかも

知れません・・・

こんな凄い功績を上げた人がなんで

最下位だったのか?

「最下位」のお話は名誉の為なのか、

この案内板には載っていませんが、

この先は案内板とWikipediaにあった

内容を読んで、大納得でした。

この方は、兵学校卒業かなり後に、

「海軍潜水学校」を主席で卒業しているのです。

主席=1番です(当たり前)

人は好きなもの得意なものを

やれば水を得た魚にもなれるという

典型的な例ではないかと思いました。

もし、木梨鷹一氏が、潜水艦を志望せず、

ただの卒業生最下位のままの人生ならば

きっとここにこの案内版は無く、

空母ワスプも撃沈されず、その乗組員の

運命も変わっていた事でしょう。

いやその前に木梨鷹一氏の運命こそが、

大きく変わった事でしょう・・・

幸せになったかも知れないし、

そうでなかったかも知れないし・・・

色んな思いを起こさせてくれる

案内板にここで出会えたことに

感謝しかありません。

 

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