鵜戸神宮(宮崎県日南市)後編
神話の世界感
宮崎の神社では神話の世界が
遠い昔に感じられると
書いた事があります。
しかし、ここ鵜戸神宮に参拝して、
その思いは変わっています。
ここは、神様の産屋からお墓まで
神話の世界そのものが体験出来る
バーチャルリアリティならぬ、
リアリティリアリティ(笑)
だったからです。
神話を信じるか信じないかではなく、
神話を体験し大いに楽しむ事。
こんなスタンスで参拝すると
神様もきっと歓迎してくださるはず?
折返し散策
本殿前の絶景を堪能した後は、
折り返して、当初予定した目的地を
制覇しなければなりません(笑)
石垣は江戸時代のものでしょうか?
野面積みの素朴さがそのまま
残っていますね。
行きがけと同じく玉橋を渡ります。
渡ったところで気付いたのが、
こちらの案内です。
行きがけには気づかなかったのに
ここで、読むことが出来たのは、
ラッキーでした。
案内には、なかなか興味深い事が
書かれています。
「神仏習合時代には、
金剛界三十七尊の御名が書かれた
三十七枚の札が配してありました」
この橋を渡るだけで、三十七尊の
ご利益をいただける・・・
みたいな意味合いもあったのでしょうか。
そして、
「かつては、橋の手前で履物を脱ぎ
跣(はだし)でお参りをしていました」
こう書かれています。
これを読んで、広島の宮島に鎮座する
厳島神社を思い出しました。
僕が5~6歳のころは、
海の上にある回廊に入る前、
靴を脱いで、用意された
藁草履で参拝していたからです。
50年以上前の幼い頃の記憶が
今も鮮明に残っているのは、
「靴を脱いで藁草履に履き替えた」という
特別感があったからこそです。
その後少しして、宮島の観光客の激増で、
土足禁止という規則は無くなりました。
きっと以前は日本中の神社で、
履物を脱ぐという習慣はあったのでしょうが、
同じような理由で、その習慣は
無くなったと考えられます。
ただ、
昔からの「神様に礼を尽くす」気持ちは
持ち続けて参拝したいものですね。
楼門方向へ。
そして、
楼門手前にあるのが、この案内です。
吾平山上陵
(あひらのやまのうへのみささぎ)。
この山は、鵜戸神宮の御祭神である
鸕鷀草葺不合尊
(うがやふきあえずのみこと)の
「陵墓参考地」です。
ウガヤフキアエズノミコトの
「陵墓治定地」は、
鹿児島県にある同じ名前の
「吾平山上陵」ですが、
元々神様のお墓の場所というのは、
昔からいくつもの説があり
それを「ここです!」と確定したのは、
明治時代の事で、
その時に吾平山上陵は鹿児島県のもので
確定(治定)されたという訳です。
なので、
現代に生きる僕たちは、
「諸説あり」を楽しむ気持が
旅を楽しくするコツかも知れませんね。
門をくぐって中へ
鵜戸の古狛犬
僕が鵜戸神宮で見たかったもの
ナンバーワンがこの古狛犬です。
案内には、
文政八年(1828年)に
土砂崩れで海中に没していたものを
引き上げ修復したと
書かれていますので、
狛犬自体は文政八年以前の奉納です。
優しいお顔の狛犬で、
吽形のみ一体が見つかり
ここに戻っています。
海中に没してしまうという
大変な出来事を経験し、
相方さんも失った古狛犬、
いまは静かに余生を送っているようですね。
鵜戸稲荷神社
古狛犬の右側には、
稲荷神社への参道があります。
入口。
御社殿が見えてきました。
境内に到着。
立派な境内社ですね。
本殿。
参拝。
阿形の狛狐。
ふくよかなお体をなされています。
吽形は阿形にくらべると
かなりスレンダーなボディーです。
稲荷神社前にある恵比須社にも参拝。
吾平山上陵
稲荷神社境内横には、
吾平山上陵への入口があります。
ここから石段で登るようですが、
この日は時間切れで、断念。
いや体力切れだったかな(笑)
案内。
帰りがけに妻が見つけたもの。
以前の仕事でお世話になった方が、
稲荷神社の鳥居を奉納されていました。
御朱印
御朱印は社務所で授与されています。
神社のサイトには、
以前の社務所は茅葺き屋根で、
趣のあるものだったが、
昭和45年に焼失したと書かれています。
社務所玄関に飾ってあるオブジェ。
太陽の塔的なものかな?
御朱印。
鵜戸八丁坂
行きがけが下りだったので、
帰りの石段は上りになります。
ここで、見つけたのが、この案内。
案内によると、
江戸時代からの石段で、
「参拝者の往還で中央部が
すりへり凹んでいる」
と書かれています。
確かにめっちゃすり減っていますね!
どんだけの参拝者がいたのか
想像もつかないくらいです。
昔の石段にしては段差がすくなく、
老若男女問わず歩きやすく出来ています。
駐車場に行くにはここから
左に折れますが、
ここからさらに上ると先には
累代別当宮司の墓地があります。
別当という名前からして、
鵜戸神宮はお寺の住職が
神社も管轄していた仏教色が濃い
場所であったようですね。
今日の似ている
神門をくぐる時に
妻が一言。
「これ、おっぱいみたい!」
いや~笑わせてくれてありがとう。
しかし、あながち間違いではありません。
このおっぱいみたいな金具自体の名前が
「乳鋲」(ちびょう)ですから!
鵜戸神宮の本殿裏には「お乳岩」もあるし
ここで「おっぱい」を想像するのは、
きっと神様もお喜びだったはず?(笑)