依佐美送信所記念館・外観/刈谷市

 

見事に再生

戦前から稼働していた依佐美よさみ送信所は、

昭和20年の敗戦後、

GHQの命令で一旦は廃止となるも

その後、

運良く米軍の通信施設として

生きながらえましたが、

米軍の撤収と同時に施設の多くは、

撤去され、当時の姿はありません。

そして、その後建てられたのが、

依佐美送信所記念館で、

実際に使われていた通信機器が

多数展示されています。

要するに外観はレプリカ、

内容は本物・・・

と言った所でしょうか(笑)

残せるものと残せなかったものを

どう魅せるのか?

難しい課題だったかも知れませんが、

その双方を見事に再生させているのが、

ここ依佐美送信所記念館です。

パンフレット

ここからは、

現地で撮った写真を交えながら、

送信所の歴史などを

パンフレットを抜粋・要約します。

1. 依佐美記念鉄塔

「「フローラルガーデンよさみ」の南に

高さ250mの鉄塔が8本立っていました。

鉄塔は1997(平成9)年3月までに

姿を消しましたが、

刈谷市は2年後、頂上部分と基礎部分を含む

高さ25mの依佐美記念鉄塔を

2号塔の跡地に建てました。

解体された鉄塔の部品を補修して使っており

すべて本物です。」

鉄塔の写真を拡大すると

この高さは実に壮観です!

250mは、海上自衛隊の空母型護衛艦、

「かが」「いずも」の全長248mより長く、

戦艦大和の全長267mに近いもので、

これを支える技術には敬服しますね!

後世に残して欲しかったとは思いますが、

あまり類を見ない巨大な鉄塔ですから

先々の維持管理の難しさを考えれば、

解体という選択肢しか

無かったのも頷けます・・・

250mの10分の1サイズの記念鉄塔。

ここに「鉄塔の魂」を残してくれた事に

心から感謝です!

こちらは僕たちが、

今年2月に行った佐世保市の

針尾送信所のコンクリ塔です。

依佐美送信所よりも少し前の創業で、

戦後は海上保安庁と自衛隊が使用後、

現在は国指定重要文化財となっています。

この塔の高さは136mほどで、

遠方からでも圧倒的に見えるのですが、

依佐美送信所の鉄塔が、

さらにこの倍近くの

高さだったとはホント驚きです。

4. 「対欧無線通信発祥地」記念碑

「この記念碑は、

依佐美送信所電波発射60周年、

電子情報通信学会東海支部創立

50周年の記念事業として、

1989(平成元)年に同支部長の

本多静雄氏により建立されました。」

5. 「IEEEマイルストーン」記念碑

「この記念碑は、2009年5月

IEEEマイルストーン贈呈を受け、

2010(平成22)年4月に

元中部産業遺産研究会会長で、

当ガイドボランティアの会の顧問だった

田中浩太郎氏の寄贈により

建立されています。」

エントランスに安置された、

記念碑(右)とマイルストーン(左)

6. 依佐美送信所の施設は

○○「産業遺産」です

「依佐美送信所の送信施設は、

鉄塔は撤去され、

送信機器は移設され、全体としては

元の姿は失われましたが、

装置の大半が保存されており、

近代化産業遺産、マイルストーンなど

産業遺産として数多く認定されています。

7. 対欧無線通信系統図

「依佐美送信所は名古屋無線電信局と

操縦回線でつながり、

四日市受信書は

音響回線でつながっています。

名古屋・依佐美・四日市の連携により

ヨーロッパ各国と交信できました。」

8. 依佐美送信所の変遷

(1)1929(昭和4)年4月15日

依佐美送信所から発信された電波が、

ポーランド・ワルシャワの

無線局で受信される。

(ヨーロッパ向け無線通信の始まり)

(2)外国の海底ケーブル頼みの通信

明治の初めから、外国が敷設したケーブルに

依存していた為、

電報の滞留と遅延が常態化。

(3)通信自主権確立の手段「無線通信」

自前の対外通信手段獲得のため、

1925(大正14)年、半官半民の

日本無線電信株式会社が設立され、

依佐美送信所と海蔵受信所

(後の四日市受信所)が設立され、

直接的に迅速にヨーロッパとの通信が

できるようになった。」

(4)世界最大級の送信所

当時、長距離無線通信では短波より

長波通信の方が優れると

考えられていました。

そこで日本とヨーロッパ

約1万kmの通信の為、

アンテナ出力500W(世界最大級)の

長波送信所が建設されたのです。」

(5)依佐美送信所の立地条件

【1】東京方面に各方面への無線局を

集めるのは危険である。

東京以外では大阪か

名古屋が候補地になるが、

名古屋が次の点で優れている。

【2】長波送信所には

3〜400万坪の平坦地が必要で、

このような土地は大阪近くにはない。

【3】名古屋の背後にはわが国最大の

発電地帯である中央高地があり、

大電力が安価に供給できること。

(※当時は水力発電が主流)

【4】依佐美から欧州方向に

電波をさえぎる高い山脈がないこと

【5】送信電波が受信を妨害しないために、

受信所は30km以上離れること。

【6】建設に必要な物資を運搬する

交通機関があり、労働力も得られること。

(6)建設。通信開始

1927(昭和2)年に建設が着手され、

1929(昭和4)年3月に施設が完成し、

同年4月にポーランドのワルシャワへ

送信を開始しました。

高周波発電機等の通信機器はドイツ製、

建設や鉄塔などは全て日本製であった。

(7)ヨーロッパの相手国

ポーランドを最初に、ドイツ・ベルリン、

イギリス・ロンドン、フランス・パリ、

スイス・ジュネーブ、イタリア・ローマと

次々に交信先を増やし、

依佐美送信所は、公衆の無線と

外交・貿易の促進に大いに貢献しました。

(8)短波通信が主役に

依佐美送信所は当初長波送信所として建設され、

補助として短波送信機1台を設置しました。

ところが実際には短波の方が好成績で、

1936(昭和11)年には南方1kmの地点に

短波専用局舎を新設、

短波アンテナ増設のため、

自立式75m鉄塔5基、

85m鉄塔5基が設置されました。

(短波の鉄塔は1954

(昭和29)年までに撤去)

(9)日本海軍が長波施設を使用

長波は国際通信の主役を

短波通信に譲りましたが、

長波は水中に浸透することが発見され、

潜水艦への通信実験を重ねた結果、

依佐美送信所の長波がハワイ沖でも

水深15mで受信可能なことが

分かりました。

こうして1941(昭和16)年9月以降、

依佐美送信所の長波施設は

短波施設の一部とともに

日本海軍に徴用(強制使用)されました。」

(10)米国が接収し米国海軍が使用

1947(昭和22)年、

GHQが無線塔の解体命令を出し、

アンテナ線が撤去されました。

1950(昭和25)年3月、

一転して解体中止命令が出され、

長波送信施設は米国に接収され、

米国海軍が施設を改修した後に、

1952(昭和27)年7月から

潜水艦への送信施設

「米国海軍依佐美送信所」として

使用しました。

その後、1994(平成6)年8月、

日本に返還されました。」

(11)依佐美送信所記念館開館

保存運動のなか解体も進み、

8基の250mの鉄塔は

1997(平成9)年3月までに

解体撤去され、

送信所局舎本館・送信室は

2006(平成18)年4月に

姿を消しました。

刈谷市は1999(平成11)年3月の

依佐美記念鉄塔に続き、

2007(平成19)年4月には、

依佐美送信所の社宅跡に

「フローラルガーデンよさみ」を開園し、

同時に依佐美記念鉄塔の隣に、

主要な送信機器を公開・展示する

依佐美送信所記念館を開館しました。」

長波は短波にその地位を

奪われたかに見えたのに、

結局ここが「長波」の施設として、

戦後生き残ったこと、

実に、含蓄のあるストーリーですよ!

古い技術だからダメじゃなく、

ブラッシュアップという手もある・・

人生どんな引き出しが、

繁栄の素になるかは、

全く分かりませんね!

外観散策

「フローラルガーデンよさみ」の駐車場から

参道のような一直線の道を歩き、

依佐美送信所記念館を目指します。

入口の記念碑とかに興味がない場合、

こちらの駐車場が建物に近くて便利かな(笑)

ここで妻が注目したのが・・・

かみなり様の角!?

「これ、何?」

そう聞いてくる妻に、

「碍子(がいし)みたいなものかな?」

なんて適当に答えた僕ですが、

後から建物内に入ると、

当たっていました(笑)

偶然ですが、

まるで磁場を表すように波状の雲が

建物の屋根上に出ていますね!

依佐美送信所記念館と、

10分の1スケールで造られた

依佐美記念鉄塔。

右は塔の頭頂部だったもの(多分)。

案内は、ほぼパンフと同じ内容ですが、

それに加えて、

米軍が平成6年(1994)に

全面返還した理由は、

「東西冷戦の終えん」だと記されています。

この頃は、僕も含め、

「世界が平和になった感」がありましたが、

最近の世界情勢を見ると、

東西どころか中東も含め、

熱戦状態になっていて、

平和維持というものの

難しさを改めて痛感しています・・

鉄塔平面図と鉄塔姿図をアップ。

一通りの散策を終え、

館内へと向かいます。

(続く)

 

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